ERPソリューションのプロバイダーであるHaufe X360は、400万語を超える技術資料を正確かつ効率的に翻訳する必要がありました。カスタム用語集を活用した専門的なワークフローを構築し、拡張性・品質・コスト効率を兼ね備えたローカライゼーションをどのように実現したのかをご紹介します。

人間が行う翻訳の大幅な削減
拡張性の高いプロセスの構築
オランダ、スロバキア、チェコを含む新たな市場への対応
母国語のユーザーインターフェースによりユーザー体験を向上
Haufe Group のHaufe X360は、米国の企業向けリソースプランニング(ERP)システム「Acumatica」のローカライズ版を、DACH市場(ドイツ、オーストリア、スイスで構成される地域)に展開することを目指していました。
これを実現するため、チームはすべてのユーザーインターフェース(UI)と、関連する技術資料を4言語以上に翻訳する必要がありました。さらに、将来的にはさらなる国際市場への展開も見据えていました。
このように大規模かつ進化し続けるシステムのローカライゼーションには大きな課題が伴いました。特に、ERPシステムに付随するトレーニング資料や取扱説明書といった技術文書の翻訳において、その難易度は顕著でした。
本プロジェクトでの翻訳量は、UIが6万件以上、そして技術資料は2,400万文字におよびました。
当初、UIはすべて手作業でローカライズされていました。しかし、膨大な技術資料を外部の翻訳会社に委託しようとしたところ、コミュニケーションの課題やワークフローへの理解不足が障壁となり、このアプローチはうまく機能しませんでした。
その後、暫定的な対応としてシステム内でテキストを直接確認・修正する運用が行われましたが、コンテンツ量の多さから多大な時間と工数を要し、持続可能な方法とは言えませんでした。
技術資料は、技術文書向けに設計された参照構造を持つDITA-XML形式で管理されていました。このツリー構造は、翻訳プロセスを複雑化させるため、一般的な翻訳ツールに取り込むと書式エラーやデータ損失が発生するリスクがありました。
さらに、Haufe X360のERPシステムは独自の構造であるため、従来のCATツールへのDeepL翻訳の統合も容易ではありませんでした。加えて、原文の文脈情報が不足していたことで、「COD」が本来の意味である「代金引換(Cash on Delivery)」ではなく「タラ(cod)」と訳されてしまうといった重大な誤訳も発生していました。
Haufe X360は、自動化を支えるパートナーと緊密に連携し、DeepL APIと用語集を活用することで、ローカライゼーションの課題を克服しました。この組み合わせにより、正確性と一貫性を維持しながら、大量のコンテンツを効率的に処理できる完全自動化ワークフローを実現しました。
DeepL翻訳を採用した主な理由は、その卓越した翻訳品質にあります。Haufe Group では長年にわたり社内でDeepLを活用しており、その精度と自然な訳文に高い信頼を寄せていました。実際に導入後は、機械翻訳の品質が大きく向上し、手動による言語レビューは最小限で済むようになりました。その結果、ローカライゼーションプロセス全体のスピードが大幅に向上しました。
エリック・ホイッスラー、ローカライゼーションエンジニア
パートナーと連携し、自動翻訳プロセスを構築しました。このプロセスには、以下の手順が含まれます。
ソースのDITAファイルはXLIFF形式に変換され、翻訳用にセグメント化されます。
分割されたコンテンツは、翻訳のためにDeepL APIに送信されます。
翻訳全体を通じて用語の一貫性を確保するため、モジュール固有の用語集(用語データベース)が自動的に生成され、テキストと共にDeepL APIに送信されます。
翻訳完了後、自動チェック機能により不適切な用語が特定され、適切な表現へと自動的に置き換えられます。
こうして作成されたドイツ語のDITAファイルは、更新されたWikiの基盤となり、エンドユーザーがすぐに利用できる状態で提供されます。
DeepLを活用したワークフローにより、Haufe X360は数百万語におよぶローカライゼーションを、効率的かつコスト効率よく、さらに品質を継続的に改善しながら運用できるようになりました。
自動化により、大規模な翻訳チームが不要となり、大幅なコスト削減が実現しました。その結果、従業員は重要な用語管理に集中でき、時間と専門性をより有効に活用できるようになりました。
エリック・ホイッスラー、ローカライゼーションエンジニア
DeepLの高品質な翻訳により、このソリューションはHaufe Group全体へと展開されました。現在では、以下のような幅広い用途で活用されています。
Haufe X360の次のステップは、DeepLの専門家と連携し、用語集をさらに最適化することです。その目的は、高度に専門的で複雑な技術用語やシステム機能を、より一貫性のある形で管理することにあります。
この技術基盤により、市場ニーズへの柔軟な対応が可能になります。より効率的な用語集ワークフローを導入することで、Haufe X360は最小限の工数で新しい言語を迅速に提供できるようになります。
現在はオランダ語、スロバキア語、チェコ語への対応を進めており、今後も必要に応じて対応言語を拡大していく予定です。これにより、さらなる成長に向けた基盤を強化しています。
DeepLのAI翻訳を活用することで、ローカライゼーションはグローバル成長を加速させる戦略的な基盤となります。世界中のユーザーと円滑にコミュニケーションを取り、ビジネスの可能性を広げることができます。
DeepLのデベロッパー向けAPIを活用すれば、既存のワークフローにシームレスに統合できるツールの開発が可能です。さらに、ブラウザ拡張機能やアプリを活用することで、人が翻訳したような自然で高品質な翻訳を、大規模かつ効率的に実現できます。