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グローバルに事業を展開〜AI翻訳が企業のローカライゼーション戦略にもたらす4つの効果〜

要点:翻訳とローカライゼーションについて  

  • 翻訳(translation)のプロセスとローカライゼーション(localization)のプロセスは異なります。翻訳では、ある言語を別の言語に変換して元の意味はそのまま残すのに対し、ローカライゼーションではさらに一歩踏み込んで、異なる市場の文化的ならびに言語的差異を考慮して変更を加えます。 
  • 時間や日付の表記方法からダジャレや言葉遊びまで、高品質のローカライゼーションが必要な場面は多岐にわたります。 
  • ローカライゼーションを適切に行えば、グローバルな顧客の満足度を高めて顧客を自社に惹きつけ、収益アップに繋がります。 
  • ローカライゼーションのプロセスの効率を上げ、改善を見込みたいと望む企業にとって、AI翻訳は理想的なツールです。 
  • DeepLのAI翻訳を活用することで、効率アップ、作業時間の短縮、品質と精度の向上、チームの連携強化などの効果が得られます。 


翻訳とローカライゼーションは、一見似ているようで目指すところが異なる別個のプロセスです。ある言語のテキストを別の言語に置き換えるのが翻訳であるのに対し、ターゲット市場に焦点を当て、文化や言語の違い、構造を考慮したうえで変更を加えるのがローカライゼーションです。 

つまり翻訳は、より複雑で時間を要するローカライゼーションのプロセスの一端を担っていると言えます。AI翻訳を使えば、翻訳とローカライゼーションを効果的に行えます。 

人間が手掛ける翻訳と異なり、AI翻訳は自動化された機械学習プロセスを基盤にしており、高精度かつスピーディに訳文を出力します。高い精度でスピーディに訳せるAI翻訳とローカライゼーションの相性は非常に良く、ローカライゼーションにAI翻訳を組み込むことでワークフローの無駄を省き、効率を上げられます。 

グローバルな市場の開拓を目指すにも、顧客満足度を向上させるにも、ローカライゼーションが鍵となります。顧客に最も快適な状況、すなわち顧客の母語で対応できるためです。 

今回の記事では、翻訳とローカライゼーションの違いについて説明します。また、より良いローカライゼーションを簡潔かつスピーディに行うために、AI翻訳をどのように活用できるかを詳しくご紹介します。 

翻訳とローカライゼーションは本当に別物? 

端的に言えば、答えは「イエス」です。詳しい答えは、以下をご一読ください。 

簡単に言うと、原文の意味と目的を維持しながらある言語を別の言語に変換するのが「翻訳」です。一方、DeepLのローカライゼーションのスペシャリストらは、特定の市場のニーズに見合うようにプロダクトやサービスを変えることを目指す、より複雑なプロセスが「ローカライゼーション」であると定義しています。 

特定の市場向けにプロダクトやテキストをローカライズする場合、文化的・言語的な特徴に加え、構造的な違いも考慮しなければなりません。上手なローカライゼーションとは、プロダクトやサービスがターゲット市場を念頭に置いて特別にデザインされたように感じられることであり、単に変更が加えられたように感じられることではありません。 

とはいえ、まずはコンテンツが上手く翻訳されていなければ、適切なローカライゼーションはできません。ここで、AI翻訳が大活躍します。 

通常、AI翻訳ツールはディープニューラルネットワークを使用して、正確で滑らかな訳文を出力します。ローカライゼーションの一環で高品質な翻訳を大量に必要とする企業が高度なAI翻訳を採用することで、かなりの効率化が見込めます。  

実際、Regina Corso ConsultingがDeepL独自の調査*のために実施した最近のアンケート結果から、「マーケティング担当者の87%が、ローカライゼーションや翻訳のプロジェクトに機械翻訳ツールが不可欠であるとして同意している」ことが分かりました。 

グローバルなターゲット層に訴えるにあたり、ローカライゼーションの効果はどの程度なのでしょうか?以下にその答えをご紹介します。 

グローバルな事業でローカライゼーションが大切な理由 

ローカライゼーションのためのツールを提供するPhraseは、「ローカライゼーションの中のひとつが翻訳」であり、「単なるテキストの翻訳にとどまらず、画像や色、フォーマット、ユーザーインターフェース、デザイン、さらには支払い方法の変更までを行う」と説明しています。 

ローカライゼーションは、細部にまで気を配り、訳文の言語を使用する国の文化や嗜好を十分に理解したうえで行う複雑なプロセスです。新規市場で成功したいと考える企業は必ずローカライゼーションを考慮しなければなりません。   

CSA Researchが最近実施した調査では、「オンラインで買い物をする客の76%は、母語で情報が提供されている商品を購入したい」と考えており、75%が「母語でのカスタマーケアを受けられることで、同じブランドを再び購入する傾向にある」と報告されています。  

CSA ResearchのDr.Donald A. DePalmaは、「ローカライゼーションにより顧客体験が向上し、ブランドと顧客との繋がりが強まります。グローバルな成長を目指す企業は、ローカライゼーションを綿密に計画し、事業戦略に組み込んで実行すべきです」と説明しています。 

新規顧客の獲得から既存顧客の維持まで、ローカライゼーションが現代の企業のグローバルな成功を左右することは明らかです。質の高いローカライゼーションは、多大なメリットをもたらします。実際、Weglotの最近の記事では、マーケティング会社であるNet Media Planetの成功はローカライゼーションのおかげだと述べられており、「コンテンツと有料広告をローカライズした結果、コンバージョンが20%向上した」としています。   

競争力の獲得から顧客満足度の向上、収益の増加まで、コンテンツをローカライズして潜在顧客に提示することで、企業が新規市場で成功する可能性が高まります。 

ローカライゼーションが必要なケース 

ウェブサイトのローカライゼーションと翻訳サービスを示す文書のイラストが3つあり、それぞれ日本語、英語、スペイン語で日付が書かれています

ここまでで、翻訳とローカライゼーションの違いをご理解いただけたかと思います。次に、実際のローカライゼーションについて詳しくご紹介します。 翻訳後、さらに工夫が必要なケースには次のような例があります。 

  • 時間、数字、通貨、単位、日付:時間や日付の書き方や距離の表示方法などについて、普遍的なルールはありません。翻訳では、このような文化的違いを考慮しなくてよい場合もありますが、ローカライゼーションでは考慮が必要です。 
  • スラングや慣用表現:スラングや慣用表現をそのまま翻訳すると混乱を招き、逆効果になりかねません。ローカライゼーションでは、スラングや慣用表現の文化的な背景やニュアンスを考慮して、言語的に意味が通じるように書き換えます。 
  • ダジャレや言葉遊び:ユーモアの基盤には文化的なものや文脈によるものがあり、ある言語から別の言語にすんなり翻訳できるとは限りません。ダジャレや言葉遊びの効果を適切かつ確実に伝えるには、翻訳に加えローカライゼーションが不可欠です。 
  • 記号、画像、絵文字:ある言語や文化圏ではユーモラスだったり論理的だったりすることが、別の言語や文化圏では正反対の意味を持つ場合があります。ローカライゼーションの熟練のスペシャリストは、様々な記号や画像、絵文字が他の言語でどのように受け取られるかをしっかりと考慮して変更を加えます。 
  • ユーザーインターフェース:質の高いローカライゼーションは、オーディエンスごとに異なるウェブサイトとのインタラクションやナビゲーションの方法も考慮します。フランス語を使うオーディエンスには通じても、日本のオーディエンスには通じない、というケースもあるでしょう。ローカライゼーションのスペシャリストは、最良の結果が得られるように、異なる文化圏の市場で何が求められているかを理解しておかなければなりません。  

ローカライゼーションの具体例 

次の状況を考えてみましょう。米国に本社を置くあるeコマース企業が最近日本市場に進出した結果、コンテンツとコミュニケーションのニーズが変わりました。 

新市場のニーズに合わせて、ウェブサイトを日本語で展開しなければなりません。グローバルセールについての次の文章をアメリカ英語から日本語に翻訳することになりました。 

“The Spring Sale ends on May 15th at 12:00 AM.” 

AI翻訳は次のような訳文を出力するかもしれません。  

春のセールは5月15日の午前12時に終了。  

翻訳としては問題ないですが、「午前12時」という書き方は日本語話者にあまり馴染みがなく、そのまま使うと誤解を招いてしまうかもしれません。例えば次のようにローカライズできるでしょう。 

春のセールは5月14日の23時59分まで開催。 

わずかな変更に見えるかもしれませんが、これらが積み重なることで大きな違いが生まれます。適切なローカライゼーションがなされていなければ、セール期間が正しく伝わらず、日本の顧客がセールを見逃すという事態を招くかもしれません。つまりは企業の収益は下がり、セールを楽しみにしていた潜在顧客を得られなくなるかもしれないのです。 

このようなローカライゼーションを行うことで、より正確なコンテンツを作成でき、ユーザー体験が全般に向上します。Phraseが述べたように、適切なローカライゼーションによって企業は「文化の違いで起こるトラブルを避け、ブランドイメージに悪影響を与える問題」を回避できるのです。  

ローカライゼーションが必要なコンテンツ 

企業のニーズや状況により、ローカライゼーションが必要なコンテンツは異なります。例えば以下をリストアップできるでしょう。 

  • ウェブサイト 
  • ユーザーマニュアル 
  • カスタマーサポート  
  • ヘルプセンター 
  • ソフトウェアとアプリケーション  
  • マーケティング資料(ケーススタディ、ブログ記事、パンフレットなど) 
  • ソーシャルメディアの投稿内容 
  • . . . などなど 

どのような資料やコンテンツをローカライズするかは、企業の裁量や対象範囲、キャパシティにより異なりますが、ローカライゼーションに関して綿密に戦略を立てることが得策です。上手い戦略を立てるには、効率性を考慮することが鍵となります。ここで真価を発揮するのがAI翻訳です。 

AI翻訳をローカライゼーションのプロセスに取り入れることで得られる4つの効果 

ウェブサイトのインターフェースが描かれており、ローカライゼーションと翻訳の業界の成長推移が縦棒グラフで示されています

ローカライゼーションのプロセスにAI翻訳を活用する方法は複数ありますが、ツールの選び方次第でより多くの効果が得られます。DeepLを活用すれば、4つの効果が得られます。 

1.効率アップ

社内のローカライゼーションチームがゼロから翻訳するのではなく、DeepLのAI翻訳をたたき台にすることで、ワークフローの効率がアップし、よりスピーディーにプロジェクトを進められます。 

2.さらなる時間短縮 

翻訳プロセスにかかる時間を短縮することで、ローカライゼーションチームはより多くの仕事をこなせます。より少ない時間でより多くの仕事をこなせるため、収益性とROIが高まります。  

3.品質と精度の向上

テキストが高精度にローカライズされているかを確認するのは大変です。DeepLのような高品質のAI翻訳ツールのパワーを借りれば、より正確で細かなニュアンスを反映させた翻訳を元にローカライゼーションを進められるため、編集に要する時間を短縮でき、全体的に品質を高められます。 

4.チームワークの改善 

手作業で翻訳すれば高品質な結果が得られますが、通常、多くの労力と時間が必要です。社内で協力しながら翻訳とローカライゼーションを行うのは容易ではありません。翻訳を外注したり、必要なスキルやトレーニングが不十分な社員に翻訳を任せたりする場合は特にそうです。

ローカライゼーション担当チームがすべて同じ翻訳方法を採用し、用語集で業界用語や企業用語を指定することで、作業がはるかに楽になります。用語集などの機能を活用すれば、作業時間を短縮しながら、すべての言語と地域の設定(リンク先は英語のページで、ユーザーインターフェース上での言語と地域の設定を指す英語の“locale”が説明されています)で語調や文体の一貫性を保てます。 


このような効果はありますが、AI翻訳はローカライゼーションのプロセスのステップのひとつにすぎないことを念頭に置かなければなりません。AI翻訳を取り入れることでチームの連携を改善でき、スピードアップを見込めますが、AI翻訳はローカライゼーションの代替になるものではありません。  

DeepLのようなAI翻訳ツールとローカライゼーションとを組み合わせることで、最良の結果が得られるのです。 

高品質のAI翻訳をプロダクトに直接組み込み、グローバル展開をよりスムーズに 

DeepLのAI翻訳は、大企業にも中小企業にもお使いいただけるソリューションです。ローカライゼーションを効率化し、言葉の壁を越えて顧客ロイヤルティを強化できます。 

DeepLのAI翻訳ツールは柔軟性が高く、既存のプラットフォームやツールに簡単に統合できます。このため、ローカライゼーションのプロセスをスムーズに改善できるのです。使い勝手の良いAPISSOログイン機能など、世界を舞台にビジネスを展開する様々な企業の皆様に便利にお使いいただける、高品質のAI翻訳ツールです。 

ローカライゼーションの効率化にDeepLのAI翻訳がどのように役立つか、詳しくはビジネス向けのDeepL Proをご覧ください。 


*Regina Corso Consultingが2023年の3月23日から4月5日にかけて、ドイツ、日本、フランス、アメリカ合衆国のマーケット担当者415人を対象に調査を行いました。