DeepL Voiceが国境を越えた「心理的安全性」
を醸成

脱炭素に向けた事業改革と海外展開を進める総合エネルギー会社、株式会社JERA(以下、JERA)では、海外拠点やパートナーとのコミュニケーション機会が増えるなかで、日本語を話さない役員・従業員も増加し、社内外の多言語コミュニケーションが日常的な課題となっていました。そこで同社は、翻訳精度とセキュリティーの両面からDeepLを選定し、テキスト翻訳の「DeepL for Enterprise」と、リアルタイム音声翻訳の「DeepL Voice for Meetings」を本格導入しました。

その結果、文書翻訳の効率化に加え、オンライン会議における心理的安全性の確保や、双方向の議論の促進にもつながっています。

要点

  • ミッションクリティカルな環境で、専門用語を含む文書を高精度に翻訳できる点を評価し、本格導入を決定。

  • 社内の翻訳基盤として定着し、資料翻訳にかかる時間が50%以上削減するなど、大幅な効率化を実現。

  • 心理的安全性の向上により国際会議が活性化し、双方向の議論が促進され、グローバルな情報共有が加速。

Customer Story_JERA_logo
業界
製造
DeepLのプロダクト
DeepL Translator, DeepL Write
主な市場
日本, フィリピン, 東南アジア, グローバル
主な言語
日本語, 英語

グローバル事業を支える、多言語コミュニケーションの課題

求められたのは、専門用語を含む正確な翻訳精度

「世界のエネルギー問題に最先端のソリューションを提供する」というミッションを掲げる株式会社JERA(以下、JERA)。同社では、グローバルな事業活動の拡大に伴い、社内外で英語を中心とした多言語コミュニケーションの機会が増えていました。そこで同社は、翻訳精度とセキュリティーの両面からDeepLを選定し、文書翻訳の「DeepL for Enterprise」と音声翻訳の「DeepL Voice for Meetings」を本格導入。多言語環境での情報共有と会議コミュニケーションを大きく改善しています。

本記事では、導入を担当した八木氏と、日々DeepLを活用する井手氏にお話を伺いました。

――グローバルに事業を展開するJERAにおいて、現在のミッションと事業の全体像について教えてください。

八木氏:日本国内での火力事業やガス事業に加え、燃料上流への投資やトレーディングを行う燃料事業、海外の発電施設への投資などを行う海外・再生可能エネルギー発電事業を手がけています。世界では2050年までのカーボンニュートラル実現に向けて、再生可能エネルギーの拡大や水素・CCUS(CO2の回収・利用・貯留)の技術開発などが進んでいます。そうしたなかで、世界に最先端のソリューションを提供し、エネルギー問題の解決や脱炭素社会の実現に貢献することが、私たちのミッションです。

当社は世界中にグループのネットワークを有しています。米国、欧州、アジア、中東、オーストラリアなどに拠点を展開するほか、海外の企業や施設への投資も活発です。最近では外国籍の社員も増えてきており、現在は全社員のうち約10%が外国籍で、役員の中にも外国籍のメンバーが増えてきました。

こうした背景から、社内外における英語を中心とした多言語コミュニケーションはますます重要になっています。

――多言語コミュニケーションにおいて、どのような課題があったのでしょうか。

八木氏:以前、別の国産翻訳ツールを使用していました。しかし当時は、「翻訳ツールを利用しているのに翻訳作業がそれほど楽になっていない」という課題がありました。

当社はグローバルな事業を展開していることもあり、会議の資料やメールの文面を日英併記で作成する社内文化があります。しかし、従来のツールでは翻訳精度が不十分で、翻訳作業・校正作業に少なくない手間を要していました。

そもそも当社の業務では、専門用語や業界用語が頻出します。特に、事業投資に伴う契約書やリーガル文書など、厳密な表現が求められる文書ではなおさらです。翻訳ツールを使ったとしても、最後には英語に堪能な社員が文面を逐一確認する必要があり、翻訳作業が一部の担当者の負担に偏ってしまうという課題もありました。

こうした課題を解決するため、当社では翻訳精度と運用負荷の両面からツールの見直しを行い、DeepLを全社の翻訳基盤として本格導入する方針を固めました。

▲総務部 東総務部 茨城・福島地域総務部ユニット(常陸那珂火力駐在) 主任 八木 量平氏

井手氏:私の場合は、海外グループ会社との会議でのコミュニケーションに課題を感じていました。私は総務部に所属しており、海外グループ会社の総務担当者と毎月、定例会議を実施しています。しかし、英語が得意ではないこともあり、日本語と英語の飛び交う会議に不安を感じることが多々ありました。

私は司会役でもあるため、参加者の発言を聞き取って的確に返答しながら議事を進行しなければいけませんが、参加者の英語が聞き取れず、同席している上司が通訳することも多かったです。

当社の社員は、全員が英語に堪能というわけではありませんし、こうした多言語コミュニケーションの問題は、さまざまな部門で発生していたと思います。

▲総務統括部総務部総務企画ユニット 井手 明日香氏

既存ツールとの比較で圧倒的な品質の差を確認

話し言葉のノイズを処理した高精度な音声翻訳

――DeepL製品を導入したきっかけや決め手は何だったのでしょう。

八木氏:以前から当社では有償版のDeepL翻訳を100アカウント契約して、一部の社員が業務に利用していました。従来の翻訳ツールに不満が高まるなかで、その社員たちから「DeepLをメインの翻訳ツールにしてはどうか」という声が挙がりました。

その声を受けて、従来の翻訳ツールとDeepLを比較したところ、翻訳精度に明確な差があることを確認できました。比較に参加した社員にアンケートを実施した結果、DeepLへの支持は圧倒的でした。

さらに、オンライン会議中の発言をリアルタイムで翻訳する音声翻訳ツール「DeepL Voice for Meetings」についても、当社が使用していたWeb会議ツールの音声翻訳機能と比較しました。その結果、こちらも品質の差は明確でした。

特に、フィラー(言い淀みや相槌。「あー」「えー」といった発言)の処理に大きな違いがありました。

従来のWeb会議ツールはフィラーをほぼそのまま認識して翻訳するため文面の判読が難しいのに対し、DeepL Voice for Meetingsはフィラーを適切に処理したうえで発言内容を翻訳できていたのです。

また当社は、海外の事業者との契約などを進めるなかで、他社の機微な情報に触れる機会もあります。そのため翻訳ツールの選定にあたっては、翻訳精度だけでなく、セキュリティーやガバナンスの観点も重要でした。DeepLはGDPR(EU一般データ保護規則)をはじめとする欧州の基準を前提に設計されている点でも安心感があり、社内の導入基準を満たしたうえで、全社で使える翻訳基盤として本格導入を決定しました。

用語集の活用で、専門用語を含む文書を高精度に翻訳

会議では双方向のやり取りが増え、グループ間の連携が強化

――現在、DeepL製品をどのように活用していますか。また、どのような効果を感じていますか。

八木氏:利用シーンは多岐にわたります。「DeepL for Enterprise」は、役員会議の資料、海外向けの契約書、海外事業者とのシステム開発におけるドキュメント、外国人学生向けの採用説明会資料、外国籍社員の入社手続き資料など、さまざまな部門で文書翻訳に活用されています。

また、当社では会議資料や社内向けの文書を日英併記で作成することも多く、DeepLはそうした日常業務のアウトプットを支える翻訳基盤としても定着しています。日本語話者ではない社員や役員も増えているなかで、情報共有の観点からも、日英での資料作成は重要です。DeepLを活用することで、翻訳に過度な工数をかけることなく、こうした対応を継続できています。

文書翻訳で特に重宝しているのが、用語集の機能です。あらかじめ社内で使う専門用語と訳語の組み合わせを登録しておくことで、翻訳するたびに用語の表記がぶれず、一貫性のある翻訳ができるようになります。これは、契約書など厳密さが求められる文書を翻訳する際に非常に役立っています。私自身、従来の翻訳ツールでは難しかった専門用語が、用語集を活用することで適切に訳されるようになり、翻訳品質の違いを実感しました。

――音声翻訳ツール「DeepL Voice for Meetings」は、会議の進め方や参加者の発言にどのような変化をもたらしましたか。

井手氏:「DeepL Voice for Meetings」は、外国籍社員を交えた会議で利用されています。Web会議ツールの画面上に訳文が表示されるため視覚的にも分かりやすく、会議中のコミュニケーションを円滑にするうえで大きく役立っています。

私自身、海外グループ会社との定例会議でこの変化を強く実感しています。DeepL Voiceの導入以降、参加者の発言回数が増えました。以前は本社側の日本語話者が一方的に発言する場面もありましたが、現在では言語の違いを過度に意識せずに済むため、双方向のコミュニケーションが活発になっています。結果として、会議の心理的安全性が確保され、より自由に意見を交わせるようになったと感じています。

また、会議の外国籍の参加者のなかには日本語を話せる方もいますが、英語で話してもらえると双方に安心感があり、やり取りがより自然に続くようになりました。以前のように、英語が得意な上司の通訳を頼りながら会議を進める必要が減り、司会進行の負担も軽くなっています。

実際、継続的に実施している定例会議の満足度調査でも、DeepL Voiceの導入以降、参加者の満足度は伸び続けています。こうした変化は総務部門に限らず、DeepL Voiceを活用している多くの部門でも生まれているはずです。

――定例会議が本来目指していた「グループ間の連携」という観点では、DeepL Voice for Meetingsをどう評価していますか。

井手氏:もともと定例会議の目的は、グループ各社の連携を強化し、円滑な情報共有やより良い施策策定につなげることでした。特定の言語話者だけが発言する状態では、その目的を十分に果たせません。その意味でもDeepL Voice for Meetingsは、グローバル組織における一体感の醸成に貢献していると感じています。

また、会議の場で「現地の声」を拾えるようになった点も大きな変化です。これまで日本からの出向者や本社メンバー中心の会話になりがちだった場面でも、現地の担当者が発言しやすくなり、より実態に即した情報を共有できるようになりました。英語が得意ではない参加者や、英語ネイティブではない方の発言も文字として確認できるため、現場の知見や経験を取りこぼさずに議論に生かせるようになっています。

――DeepLの導入は、業務効率だけでなく、事業そのものにはどのようなインパクトがあると感じていますか。

八木氏:インパクトは大きいと感じています。社内にはネイティブレベルで英語を使える社員も一定数いますが、発電所をはじめとした現場には、叩き上げで豊富な経験や知識を持ちながら、英語が得意ではない社員も少なくありません。

一方で当社としては、事業戦略としてグローバル展開を進めており、海外との人材交流も行っています。そうしたなかで、会社が目指す方向性と、現場の実態とのあいだにギャップが生まれてしまうことがあります。DeepLは、そのギャップを埋めるツールになり得ると感じています。

例えばフィリピンを含む東南アジアでは、石炭火力が主要な電源となっている国も多くあります。日本の石炭火力は熱効率やCO2排出の面で世界トップ水準にあり、当社としても、そうした技術やノウハウを海外へ展開していきたいと考えています。にもかかわらず、言葉が通じないという理由でグローバルに展開できないのだとすれば、それは機会損失です。

DeepLがあることで、言語の壁を理由に現場の知見が埋もれてしまう状況を減らし、海外展開の可能性を広げられるのではないかと考えています。

「言葉の壁」は事業拡大の機会損失を生む

DeepLでグローバル事業の拡大を後押し

――今後の活用の展望をお聞かせください。

八木氏:今後は、発電所をはじめとした現場へのDeepL製品の展開を目指しています。

すでにお話ししたとおり、当社のミッションは世界に向けて最先端のソリューションを提供することです。その実現に向けては、当社の母体企業が長年培ってきた、発電所など現場のノウハウやナレッジが大きな強みになります。例えば当社は、国内最大級の石炭火力発電所である碧南火力発電所を擁しており、その技術力は世界からも注目を集めています。現場で働く社員は、まさに石炭火力のエキスパートです。

一方で、そうした社員が必ずしも英語に堪能というわけではありません。今後、当社の技術や知見を海外へ展開していくうえで、現場の知識や暗黙知が言語の壁によって共有されにくい状況は、事業推進上の課題になり得ます。特に、現場にはニッチな領域で豊富な経験を持つ人材も多く、言語に左右されずにそうした知見を活用できる環境づくりは重要です。加えて、当社では海外との技術交流も行っており、国境を越えた協働がますます増えています。そうした取り組みを進めるためにも、言語の壁を取り除く必要があります。

今年、私は本社から常陸那珂火力発電所に異動となり、現場の施策にも携わるようになりました。来年には、日本語を話せないフィリピン人留学生が現場に加わる予定もあります。安全管理やトラブル対応は机上だけでは不十分で、現場でのコミュニケーションが大前提になります。その意味でも、専門用語を含む内容を正確に翻訳できるDeepLは非常に魅力的だと感じています。

例えば、毎日80人ほどが参加する朝会をMicrosoft Teamsで実施していますが、DeepL Voice for Meetingsを活用することで、日本語が分からないメンバーも内容を理解しながら情報共有に参加できるようになります。現場における安心感の向上にもつながるはずです。

今後は、本社で整備したDeepL製品の利用環境を発電所にも拡大し、誰もが言語を理由に発言や理解を諦めない環境を築きたいです。そしてその先に、現場の知見を生かしながらグローバル事業の拡大を進め、ミッションの実現につなげていきたいと思っています。


リアルタイム音声翻訳で、誰もが発言できる会議を実現

DeepL Voiceは、対面での会話や多言語チームのオンライン会議において、言語の壁を取り払います。リアルタイムに翻訳字幕が表示されるため、参加者は自身が使用する言語でコミュニケーションを取ることが可能になります。この機能は最も普及しているZoom MeetingsおよびMicrosoft Teamsに対応しており、誰もが参加できる会議を実現します。

DeepLの高度な言語AIの活用

あらゆる言語のニーズに対応した包括的なソリューションにより、お客様のグローバルなコミュニケーションを強化できます。