国内損保・海外保険・国内生保などを擁するSOMPOグループの持株会社であるSOMPOホールディングス株式会社(以下、SOMPO HD)は、海外保険事業の拡大に伴い、日英併記の標準化といったビジネスのグローバル化が進んだことで翻訳需要が急増しました。そこで、SOMPO HDはこの課題を解消するため、高い翻訳精度を持つDeepL ProとDeepL Writeを導入しました。

海外保険事業の拡大に伴い、主に国内で急増した英語でのコミュニケーション需要に対応するため、DeepL ProとDeepL Writeを導入
金融機関水準の高いセキュリティー要件をクリアし、グループ企業への展開も進める
外部翻訳の委託コストを年間数百万円規模で削減できると試算

SOMPOグループの持株会社であるSOMPO HDでは、現在、海外保険事業の成長が続いています。その契機となったのが、2017年のSOMPOインターナショナルのグループ入りです。米国を中心に損害保険事業などを展開する同社を傘下に収めたことで、海外保険事業は急拡大し、現在、海外保険事業はSOMPOグループにおいて重要な収益基盤の一つとなっています。
しかし、その一方で、看過できない重大な課題がありました。それが、国内外をまたぐ社内コミュニケーションにおける翻訳負荷です。当時の状況について、SOMPO HDのIT企画部 企画グループ プロダクティブ・ソリューション・ユニット課長の芝尾俊介氏は次のように振り返ります。
「海外保険事業の拡大および海外役員の各種会議への参加をきっかけに、役員会議を中心に、日英二言語で資料作成する機会が非常に多くなりました。
私は当時、経営企画部に所属しており役員会議の事務局を担当しており、部門限定で導入していた他社の翻訳ツールを使いながら資料作成を行っていました。しかし、誤訳や不自然な表現が多く、結局は英語が堪能な上司に確認を依頼しながら何度も手直しを重ねるなど、非効率な作業が続いていました。」(芝尾氏)。
他にも、IT企画部やリスク統括部、財務企画部など、海外グループ会社とのやり取りにおいて英語を使用する部門は少なくありませんでした。これらの部門では、翻訳作業に伴う手間や翻訳ツールの精度不足といった課題が顕在化しており、グループ会社や部門ごとに個別契約していた翻訳サービスはコスト面でも大きな負担となっていました。
これらを含めて、海外グループ会社と効率的かつ正確にコミュニケーションを実施することは経営上の課題となっており、SOMPO HDは高品質な翻訳ツールの導入を本格的に検討することになりました。

▲IT企画部 企画グループ プロダクティブ・ソリューション・ユニット 課長 芝尾 俊介 氏
SOMPO HDがDeepL製品の導入検討に至ったきっかけは、顕在化していた既存ツールの精度不足に加えて、SOMPO HDのグローバル経営推進部(グループのグローバル戦略などを担当)が以前からDeepL Proを部門限定で導入しており、翻訳精度などを高く評価していたことにありました。
DeepLの評価の高さを聞いた芝尾氏は、DeepLのPoCを実施。
PoCでは、DeepLの担当営業を招いた説明会を実施し、社内から募った70名を対象にDeepLの翻訳精度などを検証しました。その結果、DeepLはユーザーからの圧倒的な支持を獲得しました。既に社内で利用されていた翻訳ツールに比べて、翻訳精度が圧倒的に優れていたのが理由の一つでした。
導入に至った要因は、優れた翻訳精度だけではありませんでした。IT企画部 企画グループ プロダクティブ・ソリューション・ユニット課長代理の堀米賢司氏は、DeepLのセキュリティーの高さも重要な導入の決め手だったと、次のように振り返ります。
「損害保険ジャパン株式会社やSOMPOひまわり生命保険株式会社など、多くの金融系企業を擁する当グループでは、ITツールのセキュリティーには特段の注意を払っています。
ツールの導入時には、ISO27001の認証取得状況をはじめとする50以上の項目で評価を行いますが、DeepL製品はこれらの審査項目を高い水準でクリアし、セキュリティー面でも安心して導入できるという判断をしました。特に入力されたデータがAIモデルの強化に使用されないという点は、導入する上で大きな決め手となりました。」(堀米氏)。
金融機関が求める厳格なセキュリティー要件が前提となるSOMPO HDにおいて、AIツールに高いセキュリティー水準が求められるのは必須条件です。

▲IT企画部 企画グループ プロダクティブ・ソリューション・ユニット 課長代理 堀米 賢司 氏
また、PoCでは英語文書作成・校正支援ツールであるDeepL Writeの導入を同時に検討しました。DeepLの翻訳精度には高い評価が寄せられた一方で、DeepL Writeについては、日常業務での英語ライティングの頻度によって活用イメージに差が見られました。英語の長文を書く機会が比較的少ない参加者の中には、現時点では校正機能の活用場面が限られているという声もありました。
しかし、SOMPO HDではすでに英語によるコミュニケーションが増加しており、今後もさらなる拡大が見込まれています。英文作成・校正は一部の社員に限られた業務ではなく、より多くの社員にとって必要なスキルになっていくと想定されます。こうした変化を見据え、社員の英語力向上を支える基盤としてDeepL Writeの導入が決定しました。
導入にあたってSOMPO HDの経営企画部では、社内承認を念頭に製品の費用対効果についても精査しました。稟議書を作成するにあたり、外部翻訳の相場や想定件数を踏まえつつ、DeepLのファイル翻訳などで置き換えられる範囲を整理し、削減効果を試算したといいます。
その結果、現契約規模として想定していたコストから、数百万円規模の削減可能性を提示できたことは、導入を判断するうえでの重要な決め手となりました。また、外部翻訳委託のコストだけでなく、社員が翻訳に費やしている時間も“隠れコスト”として捉え、総合的に判断した点も意思決定を後押ししました。こうした検討を経て、SOMPO HDでは高品質の翻訳を行うDeepL Proと英文の文章校正支援ツールDeepL Writeの2製品の導入が決まりました。
DeepL導入後には、経営企画部が中心となり、社内での活用促進にも力を入れています。例えば、社内チャットツールでは、DeepL専用チャンネルを設け、製品の最新情報やおすすめの英訳記事を共有するなど、社員が日常的に目にする形で活用を後押ししました。また、この取り組みを主導したのは、経営企画部に所属する資料等の翻訳担当者でした。いわばグループ内で翻訳を担うプロフェッショナルであり、その人物がDeepL製品を強く推薦したことが、社内の信頼醸成と利用拡大に大きく寄与しました。
こうした活動を通じて、SOMPO HDはDeepL製品の活用を社内に普及させ、グループ内における翻訳課題の解消へとつなげていきました。
現在、SOMPO HDでは経営企画部、財務企画部、サステナブル経営推進部など、数多くの部門でDeepL製品が利用されています。これにより、SOMPO HD内では経営会議からチャットツールでのやり取りまで、さまざまな場面でコミュニケーションが円滑になりました。
象徴的な例として、経営層によるDeepLの活用です。SOMPO HDでは役員の多くが自らDeepL ProやDeepL Writeを活用して、文書の作成や翻訳を行っています。海外保険事業が拡大中のSOMPOグループでは、経営層にとって海外とのコミュニケーションは日常的なものとなっています。そうした場面で、正確かつ自然な英文を生成できるツールとして、DeepL ProやDeepL Writeが活用されています。これにより、以前は経営層の翻訳作業を補助していた役員秘書や各部門の業務負担も軽減され、結果として隠れていた人材コスト削減を実現しました。

▲サステナブル経営推進部 課長代理 石田 理沙 氏
さらに、サステナブル経営推進部でも大きな効果が出ています。同部は、SOMPOグループのサステナビリティの推進を担う部門であり、海外の子会社や外部機関などのステークホルダーと英語でのコミュニケーションが多数発生します。そうしたやり取りにDeepL製品が大きく貢献していると、サステナブル経営推進部 課長代理の石田理沙氏は次のように説明します。
「特に利便性を感じているのが、サステナビリティ関連の社内会議資料や、海外の外部団体から送られてくるレポートといった、高度な専門性が求められる文書の翻訳です。これまでは、一般的な翻訳ツールで翻訳した後、私たち自身が社内用語やサステナビリティ特有の専門表現が正しく反映されているか、時間をかけて入念に確認・修正する必要がありました。
しかし現在では、DeepL Proを用いることで、これらも迅速かつ自然な表現で翻訳できるようになり、社内外での適時適切なコミュニケーションがとりやすくなりました。さらに、DeepL Writeを併用して、私たちが作成する英文資料について、微妙なニュアンスの調整や、より洗練された言い回しへと効率的に仕上げるにも役立てています。この二つのツールを併用することで、時間とコストが大幅に削減され、業務全体のスピードが明らかに向上しています」(石田氏)。
その他、SOMPO HDでは社内チャットツールとDeepLを連携させ、チャットの文面を即座に英訳できる仕組みを構築しています。
日常業務の中で自然に翻訳できる導線を整えたことで、翻訳を「特別な作業」として構えずに活用できるようになり、利用浸透の加速にもつながりました。
特にIT部門は、海外人材の比率が他の部門に比べて相対的に高く、海外出身のメンバーとのコミュニケーションが日常的に発生します。こうした場面で、日本語で入力した内容をすぐに英語に変換できることは、コミュニケーションのスピードと質の両面で大きなメリットがあります。
こうした取り組みにより、SOMPO HDでは組織としての意思決定や情報連携のスピード向上が進んでいます。
DeepL製品の導入に伴う社内コミュニケーションの円滑化は、SOMPOグループが掲げる経営戦略の推進にも寄与しています。芝尾氏は現在、SOMPOグループで進めている中期経営計画の重要施策について、次のように説明します。
「現在、SOMPOグループでは、国内損害保険事業と海外保険事業、国内生命保険事業と介護事業が『つなぐ・つながる』をキーワードに、これまで培ってきたノウハウ、顧客基盤、各種サービスなどグループ内のアセットを上手く融合させ、お客様にさらなる安心・安全・健康をお届けすることを目指しています。戦略をより加速させるためには、言語の壁が存在する国内損害保険事業と海外保険事業との間のコミュニケーションをよりタイムリーかつスピーディーにする必要があり、DeepL製品によるコミュニケーションの円滑化は非常に大きな役割を果たしていくと思います。
最近では、当社での導入効果を聞きつけて、グループ各社からも導入を求める声があがりつつあります。」(芝尾氏)。

▲IT企画部 企画グループ プロダクティブ・ソリューション・ユニット 課長 芝尾 俊介 氏
また、芝尾氏は今後、DeepLの活用により、多くのSOMPOグループのメンバーが海外発の情報に触れる機会が増えることに期待していると話します。
かつては、海外の保険会社の先進的な取り組みや、海外メディアが発信している情報については、英語が堪能な限られた社員のみがリーチできていました。しかし、DeepL製品の導入以降は、多くの社員が容易に海外のメディアやWebの情報にアクセスできるようになりました。こうした変化により社員の情報感度が高まることで、各社が提供するプロダクトやサービスの価値を高めるきっかけになるのではないかと芝尾氏は語ります。
役員会議資料をはじめとする重要文書の翻訳を起点に、現在では日々の業務コミュニケーションから経営戦略の推進に至るまで、DeepL製品は幅広い領域で活用されています。社内コミュニケーションの円滑化は、グループ内の連携をさらに強化し、今後の事業成長を後押しする重要な基盤となっていくでしょう。