DeepLお客様事例:大和証券グループにおけるAI翻訳の活用と文化や歴史の観点から捉えたデジタル変革

author DeepL Team

株式会社大和証券グループ本社 デジタル推進部 (Digital Acceleration Dept.) 担当部長 兼 DX CoE課長 兼 データサイエンス課長
 廣島 和輝 氏 (取材日:2024年1月25日 部署名、お役職は取材当時のものです)


株式会社大和証券グループ本社について

大和証券グループは、投資家の資産形成や企業、公的セクターの活動支援といっ た業務を通じて、社会および経済の発展に貢献するという重要な使命を担ってい ます。資金の流れを生み出し、イノベーションが生まれやすい土壌形成、より活 発で安定した金融市場づくりに貢献することで、社会基盤を支え続けています。

ご所属している会社、部署、役職やこれまでのキャリアについて教えていただけますでしょうか。

会社名は、株式会社大和証券グループ本社になります。その中で、私が所属しているのはデジタル推進部です。 去年の10月に設立した部で、社長直下でデジタル化を加速させるという強い思い入れでできた部になります。

当社グループの主な事業は証券業を中核とする投資・金融サービス業です。日本だけでなく、米州や欧州、アジア・オセアニアでビジネスを多角的に展開しています。

私自身のキャリアとしては前職で外資系IT企業にて主にプロジェクト・マネージャーとしての経験を経て、2016年に大和証券に入社し、現職となります。前職時代は、海外とのプロジェクトで欧米やアジアの国々など、様々な国のステークホルダーと連携し、システムの導入や統合といった業務を経験してきました。そうした経緯もあり、日本と海外の比較というものが私の中のミッション、ライフワーク的な研究の分野になっています。

そうした海外との経験を踏まえて大和証券に入社し、グローバル規制のプロジェクトに携わりました。リスク管理の分野や、そこから派生して人事や財務といった、コーポレートのシステムにも関わってきました。直近はデジタル変革の領域で幅広く先進技術や業務改革というものに携わり、2023年10月からデジタル推進部に属しています。

Photograph of Kazuki Hiroshima in front of a logo on a wall

昨今、デジタル推進部を立ち上げられたということですが、この立ち上げからこれまでをどのように感じられていますでしょうか。

数ヶ月経ち、当初と同じように感じているところもありますが、違いを感じているところも あります。デジタル変革という取り組みは、IT技術の話が中心だと想定していましたが、始 めてみると、ITそのものというよりも、文化や歴史に対する抗いのような取り組みだと感じ るようになりました。

ITの技術自体はシリコンバレーを始めとする世界の最先端の場所で生まれているので、我々 日本の事業会社として行うことは、できている技術や、できつつある技術を、自分たちの業 務に活かしていくということになります。

その際に、会社のビジネスのどこに影響を与えるのか、それをどう変えていくか、意思決定 をどのように行うのかといったことを考える必要があります。そこで、良くも悪くも独特な 日本文化の壁に直面することが多いと感じています。

日本企業の特徴として、雇用面では新卒一括採用、ジェネラリスト養成文化があります。ま た、雇用調整の難易度の高さもあります。こういった背景により、IT機能が社内ではなく社 外に置かれて、自分たちで活用するというより買ってくるという考え方がまだまだ残ってい ると思います。また、品質に対する考え方も大きく特徴を感じます。戦後日本が製造業を中 心に復興してきたという背景が大きく影響しています。日本の製造業はQCDのうちの「Q」 と「C」に圧倒的力点を置くという文化であり、デリバリーのスピードにあまり重きを置かな いやり方で、繁栄してきています。

製造業の分野は命に関わるものも多いのでそれは理にかなっていると思います。一方で、ソ フトウェアの領域でいくと、「D」つまりデリバリーのスピードが重要です。その辺りの考え 方が重要だと理解する人を増やすというのが必要だと思っています。

御社の具体的なデジタル領域における変革の状況はいかがでしょうか。

世の中がデジタルに向かっていくという流れがあり、向かっていくことが適切だという感覚 は、多くの社員が持っています。社長の意志を込めて当部が立ち上がっており、経営層の強い 意志もこもっています。とはいえ、我々は規制業種ということもあり、何でも自分たちの利益 で動かせる立ち位置ではありません。規制で守られた範囲の中で、いかにデジタルを活用して 競争力をつけるかという、制約つきでものを考えるということが必要です。我々がデジタル化 していけるのはどのあたりなのだろうかと、日々悩みながら取り組んでいるところです。

足元では、例えば翻訳の話や、音声のテキスト化など、具体的な領域も見据えて動いていま す。大上段の話と具体的な活動、両方を見ながら日々考えて、悩んでいます。

Photo of Kazuki Hiroshima sitting at a conference table

現在、注目されているテクノロジーやトレンドで気になるものがあれば教えていただけますでしょうか。

やはり生成AIではないでしょうか。IT企業も、事業会社も生成AIの話を抜きにテクノロジーを語る企業は少ないと思います。昨年、シリコンバレーに行った際に、こちらが求めていなくとも、どのIT企業も生成AIの話を全面に出してきており、これが確実にテクノロジーのトレンドの中心だと感 じました。

それをどう使うかという点については、現状、生成AIというコアなものがある一方で、まだ現時点の機能では活用範囲は限定的です。これを、機能の成長と共にどう社内や社外のデータと連動させて活用していくかというところに現在取り組んでいます。

ChatGPTを9,000人の社員の方々に展開するという話を拝見したのですが、実際に社員の方々のどのようなオペレーションに組み込まれているのでしょうか。

全員が使っているとは言えませんが、全員が使える環境にはしています。実態は、業務の特性でよく使う人とそうでない人がいます。社員の10%程度が1日1回以上利用しているという状況です。

利用シーンの例としては、企画を立てる際に「こういう取り組みをしたいが、どういう観点で考えるべきだろうか」といった質問をすると、壁打ち相手になってくれます。私もデジタル変革に取り組むときに「どの観点から物事を整理すればいいか」というふうにChatGPTに聞いてみましたが、組織のあり方や、技術など5つぐらい観点を挙げてくれて、感心しています。

あとは、金融機関なので現場でプログラミングが行われています。そこでコーディングをする際に活用するという使い方が、うまくいっています。データ分析をする際に「データをクレンジングしたい、そのコードを書いて」と指示をするというような使い方をして います。

Photo of Kazuki Hiroshima looking off to the right with hands folded

DeepLのAI翻訳の製品もご利用いただいていますが、どういった社内のニーズで、ご導入まで進んでいただけたのでしょうか。

当社は海外に展開していますので、海外拠点とのコミュニケーションが多いです。日本の中でも例えば中国の富裕層の方などもおられて、そういう方々と向き合うような営業員も会社にいます。そこでのコミュニケーションは言語の壁を越える必要があります。

その際に、これまで単語や文章レベルであれば翻訳のツールはありましたが、DeepLのファイル単位で、文書を一括で翻訳できるという点にすごく価値を感じています。これはかなり私自身の生産性の向上にもつながっています。

様々な翻訳のツールがある中、DeepLを選んでいただいた決定打があれば教えていただけますでしょうか。

2つあります。ファイル単位で翻訳ができるというのが圧倒的理由です。あとは用語集(Glossary)機能です。その2つの両方が実現できるという点では、我々が調べた際はDeepLが一番でした。

精度的な面も比較しています。定性的なところではありますが「DeepLは精度が高く使いやすい」というのは、弊社の中でも意見としてよくあがっています。

ファイルの翻訳を中心にご利用いただいているということですが、具体的なビジネスへのインパクトはありましたでしょうか。

生産性の向上に直接的につながっています。例えば決算のタイミングで、IR資料を日本語と同時に英語でも出すというときに、英語版を出す労力が軽減されました。結果スピードも速くなっています。

その後、決算説明会での投資家・アナリストとのQ&A部分をホームページに掲載するため、日本語版と同時並行で英語版を作成する際に活用をしているのですが、この辺りのスピード感も上がりました。DeepLを利用する前は、外部業者に委託するケースもありましたが、DeepLの導入により内製化できるようになり、費用削減も含めた作業負担が軽減されるようになったと聞いています。

Photo of Kazuki Hiroshima in a hallway

DeepLのご導入を検討されている企業に向けてのメッセージなどあればお願いいたします。

ファイル単位で翻訳できるというのが、圧倒的にいいですし、精度も高い。あと用語集も登録できるというのが、非常に実用的です。今後、音声領域にも手を広げようとしているということで、今後の展望も非常に良好です。


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